古来、日本の建築においては、接合箇所に付加的に釘や鎹(かすがい)を使うことはあっても、金物の使用により補強は行わないのが原則です。この金物を使わない継手・仕口は、部材の取替えや、解体修理を容易にし、建物の長寿命化を図ってきました。

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2つの材を長手方向につなぐ接合を継手(つぎて)、2つ以上の材を角度をもたせて組み合わせる接合を仕口(しくち)と言います。

 

継手・仕口のほとんどは基本的ないくつかの単純な形(基本形)とそれらを組合せた形(合成形)から出来上がっています。

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その特色としては、見え掛かり部分は単純にし、建て方後の木材の伸縮、反り、捩れに対しての配慮、材の断面欠損をできるかぎり少なくする工夫、大きな力に抵抗するために組合せ部分に隙間ができないような工夫、などが施されています。

桁などの横架材の荷重を分散するために、柱と横架材の間に斗栱(ときょう)という部材を挟みます。

 

斗栱
通し柱の上に、斗(ます*1)と肘木(ひじき*2)を組み合わせ、軒からの伝わる屋根を支える役割を持ちます。

 

*1 斗:構造を支えるサイコロ状の部材。
*2 肘木:桁の荷重を分散させるための柱の上に設置する短い横架材。

 
摩尼殿
軒が深くなるほどその垂木を支えるために、斗栱を一手、二手、三手と組み上げていきます。