宮島の屋根勾配(宮島独自の町並みについて)

宮島にいくとお土産屋さんが軒を連ねる賑やかな表参道でもみじ饅頭やら目移りしながら歩くことが観光客の定番コースといえるでしょう。

 

しかし、一本裏の町屋通りを歩くと人通りが少なく、通りに点在する江戸時代から戦前までの古い町家建築を見ながらゆっくり歩くことができます。

宮島の伝統的な町屋の屋根は切妻平入で屋根勾配が緩やかです。通常の瓦葺きは4~4.5寸勾配程度が主流。(勾配は、水平方向水平距離10寸に対しての高さで求める。)対して宮島は3~3.5寸勾配。

 

その理由は、もともと宮島の町屋は板葺きに杉皮を葺くというスタイルがスタンダードでしたが、近代、瓦葺きに葺き替えの際、そのまま杉皮の上に瓦を葺いているのです。そのため、屋根瓦であっても3.5寸勾配という緩やかな屋根勾配になっています。

なんとなく歩いていると見逃してしまうような事。でもその土地の風土の特色があらわれています。そういったもの一つ一つが多様性のある町並み、景観を守るうえで大切であると改めて感じました。